みんなが教職員組合の「今」を追い求めるために

「全教ニューウェーブ~なかまづくり・職場づくり全国交流集会)」のリード発言でこんなふうに説明したとき、会議室の空気がピリっとしました。
「2024年のいま」という時代を、この瞬間を同じように生きている私たち。この時代をどう見ているか…というのは、昔と違ってかなり異なるのです。
昭和の時代と比べてみると…
40代くらいの人たちが話をしています(レンジャーに特に意味はありません)。

うちの実家は、父が厳しくてテレビのチャンネルは勝手に変えられなかったんだよね

そうなんだ。それは大変だね。

でも、「学校で話題についていけなくなるから」と言って、○○(番組名)だけは見せてもらったんだよ
この「○○」に入る番組名は、微妙な世代や時代の違いで様々でしょう。
「何曜日のこの時間はこれだよね」「何曜日(何日)になったら本屋に言ってこの雑誌をみんな買ってる」みたなのがたくさんあった時代です。
今の子どもたちの様子を見ていると、そこまでみんなが熱狂してともに時間を過ごしてる…ということは多くないような気がします。それよりは、SNSのグループチャットがうんたらかんたら…と言ったことの方に関心がありそうです。
データで紐解く情報源のありか
では、いまの時代を同じように眺めていそうな私たちは、どんなふうな方法でこの時代を見ているのでしょう。
ふたつのデータを紹介します。
ひとつは、総務省が毎年まとめている「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」。

もうひとつはNTTドコモがまとめている「モバイル社会白書」の中から2023年のソーシャルメディアの利用率についてです。

こうしてみてみると、若い世代ほどInstagramやYouTubeで情報を得ていることがわかります。
ここで考えてみたいのが、「InstagramやYouTubeを見てるよ」と言ったからといって、同じものを共有しているのか…という現代的な問題です。
フィルターバブルと「おすすめ」の表示

SNSを見る側として使う際に意識しておかなければならないメディアリテラシーがあります。それはフィルターバブルです。
検索履歴や視聴の傾向などをもとにSNS側が解析して「あなた、これ好きでしょ」と表示させる機能があります。SNSを使い込んでいくとこのフィルターバブルの傾向が顕著化します。ちょっと言い過ぎかもしれませんが、あたかも「ここに表示されている情報こそ『この世の中』なんだ」というように、錯覚しかねないことになるわけです。
あなたのInstagramの「おすすめ」に投稿されているものは、違う人のInstagramの「おすすめ」とは全く違うかもしれないということです(このあたり学習会などの機会ではしっかりお話したいと思っている部分です)
こうした世界で、教職員組合はどう存在感を発揮していくことができるのでしょう。
冒頭の会議室をピリッとさせてしまったひとことは、「この『フィルターバブル』の世界で、教職員組合をどう魅せるのか」という意味のひと言です。
めざすはストーリー・オブ・セルフを自由自在に語れること
歴史的に教職員組合運動が大切にしてきたもののひとつに、「本質をつかむ」ということがあるのではないかと思います。「いま、目の前に起きている事象を紐解くと根本的な本質はコレです」みたいなものです。そんなふうに確信に迫るには、教職員組合運動の歴史と経験、そして教育条理が背景にあるものです。
でも、こうした「思い」は目に見えないのです。
一方で、SNSによるコミュニケーションでは「本質」は大事にされないといいます。大事になされるのは、どんなふうに(コンテンツを見ている人たちに)働きかけるかということ、そしてコミュニケーションだといいます。
よく「よくない労働組合のSNSの発信」で、「今日は中央委員会!」みたいに、そのときの写真とひとことだけが投稿されると言う例が挙げられます。
それに対して、意識して取り組んでいきたいのは、「今日はこれです」の、そのあとに得ることができた「思い」である「価値観」の共有です。コミュニティ・オーガナイジングでいうところの「ストーリー・オブ・セルフ」です。
いまの時代に自ら分断の道に足を踏み入れないために
どんな組織だって、自分たちの取り組みの価値観を伝え新たな仲間に出逢うために必死な時代です。それは趣味のサークルでも同じだといいます。続けていくことはとても努力が必要です。
「余暇を何に使おうか」と考えてひとつの選択肢になるとすれば、教職員組合運動を進めるのも同じではないでしょうか。
どうしても、教職員組合の側から考えをめぐらせがちですが、そうすると経験の差や世代の違いで無駄な分断を生み出してしまうかもしれません。そうしないための極意は、ここまで挙げてきたように相手の側から考えるということがあるのではないでしょうか。組合ではまだ出会えていないみなさんにとって、教職員組合運動は見えているのか、もし見えているとしたらどんなふうに魅せるとより効果的なのか、叡智を結集させていけたらいいなと願っています。

